オーグメンチンとクラバモックスの用法の違い
なぜ同じ成分の配合剤なのに用法に違いがあるのか?
オーグメンチンとクラバモックスは、ともにアモキシシリン+クラブラン酸の配合剤です。
※クラブラン酸はβラクタマーゼ阻害薬で、アモキシシリンの効果を高めるために配合されています。
オーグメンチンは食事に関係なく服用可ですが、
クラバモックスは食直前の服用が添付文書で指示されています。
なぜクラバモックスは食直前服用なのか?
クラバモックスのインタビューフォームによると、
このように記載されています。
高脂肪食摂取後だとクラブラン酸のBA(バイオアベイラビリティ)低下がみられるため食事の影響を考えると食直前の服用が必要になります。
しかし、普通食摂取時のAUC・Cmaxは空腹時投与と比較して同程度となっています。
つまり普通食であれば何が何でも食直前服用である必要はないということです。
なぜオーグメンチンは食直前の縛りがないのか?
オーグメンチンは、アモキシシリン:クラブラン酸が2:1とアモキシシリンの量に対してクラブラン酸の量が多く配合されています。クラブラン酸が十分量配合されているため、食事によるBA低下が起こっても治療には影響が少なく、食後の服用でも問題ありません。
▶クラバモックスのクラブラン酸の量を増やせばいいのでは?
クラブラン酸の量が増えると下痢や吐き気などの消化器系の副作用が起こりやすくなります。小児では消化器系の副作用リスク増加を避けるために比率を上げることが難しいと考えられます。
▶オーグメンチンはサワシリンと比較し下痢の頻度が多い?
インタビューフォームの消化器障害の副作用頻度は
オーグメンチンが2.12%
サワシリンが4.8%
とサワシリンの方が副作用報告が多くなっています。
オーグメンチンでは消化器系の副作用が増えない範囲でクラブラン酸が含有されていることがわかります。
オーグメンチン+アモキシシリン=オグサワ処方
呼吸器感染症のガイドラインで、特定の菌に対して使用する場合アモキシシリン1回500mgを1日3~4回の服用が第一選択になっているため呼吸器内科の処方箋では、
オーグメンチン250RS 3錠
サワシリン錠250mg 3錠 毎食後
という処方が出されることがあります。
なぜオーグメンチン250RS6錠ではないのか?
クラブラン酸の量が多くなると消化器系の副作用が現れやすくなるため、アモキシシリンの量のみを増量できるサワシリンを併用するそうです。
オーグメンチンの倍量での試験が見つかりませんでしたので、用量を決める際に参考にされておりインタビューフォームにも記載がある海外の医薬品を比較してみると、
日本より体格の良い海外でも1回量のクラブラン酸の量が125mgということがわかります。
ここからもクラブラン酸が1回125mgで十分量であり、副作用を考えると増量しないほうが良いと考えられます。
まとめ
小児のクラバモックスは無理に食直前服用をさせるのではなく、可能な限り食直前に服用するようにと指導してあげてください。食後でも良いので飲み切ることが大切です。