薬剤師self-study

薬剤師のチャッピーが自己研鑽に励むブログ

点眼薬の使用する順番は?

 

使用順番について

f:id:yakuselfstudy:20220412015333j:plain・注意点

●2種類以上使用するときには間隔を5分間以上あける必要がある。

(薬剤によっては間隔を10分間以上あける薬剤もあるので、添付文書に記載があるので使用上の注意の確認する。)

●涙のpH(pH7.0中性)に近い点眼薬を先に使用する。

(pHが離れていると刺激を強く感じやすく、刺激により涙液の増加がおこり眼内移行性が低下するため)

●医師の指示がある場合には、医師の指示が最優先になるため聞き取りする。

 

【予備知識】

●点眼薬は1回1滴

点眼薬は、1滴30~50μLになっています。対して、結膜嚢に保持できる液体量は20~30μLです。

そのため2滴以上を点眼しても保持しきれずに溢れてしまいます。溢れた液体の拭き取りが十分に行えていないと液体が触れた眼の周囲で接触性皮膚炎が起こる原因になる。

※添付文書の用法用量が1回2滴以上点眼と記載されている薬剤もあるので確認が必要です。

 

●5mLの点眼薬1本で100滴使用可能

1滴30~50μLのため、5mLの点眼薬では5000μL÷50μL=100となるため理論上100滴出ることになります。

※高齢の患者では、上手くさせずに1回で2~3滴使用することも考えられます。

 

●目薬の使用期限

開封後は、1ヶ月が期限になります。中身が残っていても衛生上開封後1ヶ月経過したものは利用しないようにする。

清潔な状態を保つために、目尻や目頭に容器がつかないように十分注意する。

OTCの場合には、開封後期限3ヶ月が廃棄の目安になっています。

 

●口腔内に感じる苦味や甘味に対する対策

点眼後すぐにまばたきをすると、早めに結膜嚢から鼻を通り口腔内で苦味などを感じやすくなります。

まぶたを1分間程度閉じて、まばたきをしないことで苦味などを感じにくくなります。その時に目頭を抑えておくとより苦味などを感じにくくなります。また、点眼後すぐにまばたきをすると結膜嚢からの薬の流出が早くなり、点眼薬の効果が落ちることもあります。

※術後などに目頭を押さえると傷口が開いてしまう可能性があるのでまぶたを閉じるだけにする。

 

コンタクトレンズ装着時の点眼

点眼薬の多くには防腐剤が含まれています。防腐剤はソフトコンタクトレンズに吸着し、ソフトコンタクトレンズの劣化を早めてしまう可能性があります。

ソフトコンタクトレンズ使用時には点眼前に一度外す必要があります。再度装着する際には、点眼後5分以上間隔をあけてから装着する。

※ハードコンタクトレンズでは吸着の問題がないため外す必要はないですが、十分な効果が現れない可能性がありますので装着前に点眼することがおすすめされています。

 

●懸濁性点眼薬は立てて保管

横向きなどにして保管すると、粒子が凝縮しノズルの先端に詰まってしまう可能性があります。

 

オーグメンチンとクラバモックスの用法の違い

 

なぜ同じ成分の配合剤なのに用法に違いがあるのか?

オーグメンチンとクラバモックスは、ともにアモキシシリン+クラブラン酸の配合剤です。

※クラブラン酸はβラクタマーゼ阻害薬で、アモキシシリンの効果を高めるために配合されています。

オーグメンチンは食事に関係なく服用可ですが、

クラバモックスは食直前の服用が添付文書で指示されています。

 

なぜクラバモックスは食直前服用なのか?

クラバモックスのインタビューフォームによると、

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このように記載されています。

高脂肪食摂取後だとクラブラン酸のBA(バイオアベイラビリティ)低下がみられるため食事の影響を考えると食直前の服用が必要になります。

 

しかし、普通食摂取時のAUC・Cmaxは空腹時投与と比較して同程度となっています。

つまり普通食であれば何が何でも食直前服用である必要はないということです。

 

なぜオーグメンチンは食直前の縛りがないのか?

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オーグメンチンは、アモキシシリン:クラブラン酸が2:1とアモキシシリンの量に対してクラブラン酸の量が多く配合されています。クラブラン酸が十分量配合されているため、食事によるBA低下が起こっても治療には影響が少なく、食後の服用でも問題ありません。

 

▶クラバモックスのクラブラン酸の量を増やせばいいのでは?

クラブラン酸の量が増えると下痢や吐き気などの消化器系の副作用が起こりやすくなります。小児では消化器系の副作用リスク増加を避けるために比率を上げることが難しいと考えられます。

 

▶オーグメンチンはサワシリンと比較し下痢の頻度が多い?

インタビューフォームの消化器障害の副作用頻度は

オーグメンチンが2.12%

サワシリンが4.8%

サワシリンの方が副作用報告が多くなっています。

オーグメンチンでは消化器系の副作用が増えない範囲でクラブラン酸が含有されていることがわかります。

 

オーグメンチン+アモキシシリン=オグサワ処方

呼吸器感染症ガイドラインで、特定の菌に対して使用する場合アモキシシリン1回500mgを1日3~4回の服用が第一選択になっているため呼吸器内科の処方箋では、

オーグメンチン250RS 3錠

サワシリン錠250mg   3錠   毎食後

という処方が出されることがあります。

なぜオーグメンチン250RS6錠ではないのか?

クラブラン酸の量が多くなると消化器系の副作用が現れやすくなるため、アモキシシリンの量のみを増量できるサワシリンを併用するそうです。

オーグメンチンの倍量での試験が見つかりませんでしたので、用量を決める際に参考にされておりインタビューフォームにも記載がある海外の医薬品を比較してみると、

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日本より体格の良い海外でも1回量のクラブラン酸の量が125mgということがわかります。

ここからもクラブラン酸が1回125mgで十分量であり、副作用を考えると増量しないほうが良いと考えられます。

 

まとめ

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小児のクラバモックスは無理に食直前服用をさせるのではなく、可能な限り食直前に服用するようにと指導してあげてください。食後でも良いので飲み切ることが大切です。

 

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初出掲載:2022年04月04日

最終更新:2022年04月04日

スタチン系の基礎知識

スタチン系の分類

スタチン系は、「スタンダード」と「ストロング」の2つに分類されます。

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「スタンダード」と「ストロング」用法の違い

一般的にコレステロールは夜間に合成が促進されるため、僕は学生のときスタチン系=夕食後服用のイメージがありました。しかし現場では朝食後服用の処方と出会うことが多々あります。

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作用時間の短い「スタンダード」は、1日1回服用の場合夕食後服用が効果的とされています。

一方「ストロング」は作用時間が長く、いつ飲んでも効果に差がないため朝の服用が可能となります。

 

「ストロング」と「スタンダード」効果の違い

インタビューフォームによれば、

「スタンダード」では15%前後

「ストロング」では30%前後

LDLコレステロールを下げる効果が期待できます。

(実際はそれぞれ薬剤の用量によって幅があります)

まとめ

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