💊 コルヒチン錠0.5mg「タカタ」
2026年6月改訂 完全ガイド
用量改訂の内容・エビデンス・処方監査ポイント | 薬剤師・医療従事者向け
⭐ 最重要ポイント
- 痛風発作の用量が最大1.5mg/日に変更(旧:3〜4mg/日)
- 0.5mg錠で1日最大3錠。4錠以上は超過
- 1回0.5〜1mg、1日1〜2回
- 疼痛改善後は速やかに中止する
- 高用量でも有効性の上乗せは乏しく、下痢・中毒リスクが増加
- 腎機能障害・CYP3A4阻害薬で中毒リスクが大幅上昇
- 下痢・嘔吐は中毒の初期症状の可能性がある
- 血液透析では十分に除去されない
🔴 2026年6月改訂:痛風発作の用法・用量
- 1日3〜4mg
- 6〜8回に分割投与
- 年齢・症状により適宜増減
- 0.5mg錠で6〜8錠/日
- 1.5mg超は「やむを得ない場合を除き避ける」
- 1回0.5〜1.0mg
- 1日1回または2回
- 1日最大1.5mg(3錠)
- 承認用量を超えて投与しない
- 疼痛改善後は速やかに中止
基本情報
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 販売名 | コルヒチン錠0.5mg「タカタ」 |
| 一般名 | コルヒチン |
| 含量 | 1錠中 0.5mg |
| 剤形 | 青色の円形錠 |
| 主な作用 | 微小管重合阻害、好中球機能抑制 |
| 承認効能 | 痛風発作の緩解・予防、家族性地中海熱(FMF) |
| 尿酸低下作用 | なし |
| 一般的な鎮痛作用 | なし |
| 特徴 | 治療域が比較的狭く、過量投与・腎機能低下・相互作用に注意 |
作用機序
コルヒチンはチュブリンに結合して微小管の形成・重合を阻害します。これにより好中球の遊走・集積・貪食・脱顆粒が抑制され、NLRP3インフラマソームを介した炎症反応やIL-1βなどの炎症性サイトカイン産生も抑えられます。
痛風発作の緩解(改訂後)
- 1回 0.5〜1.0mg(1〜2錠)
- 1日 1回または2回
- 1日最大 1.5mg(3錠)を超えない
- 痛風発作後、早期に開始するほど効果的
- 疼痛が改善したら速やかに中止
| 服用方法 | 1日量 | 判定 |
|---|---|---|
| 1回1錠、1日1回 | 0.5mg | ✅ 用量内 |
| 1回1錠、1日2回 | 1.0mg | ✅ 用量内 |
| 1回2錠、1日1回 | 1.0mg | ✅ 用量内 |
| 合計3錠/日 | 1.5mg | ✅ 上限内 |
| 1回2錠、1日2回 | 2.0mg | 🚨 上限超過 |
| 1回1錠、1日4回 | 2.0mg | 🚨 上限超過 |
| 1日6〜8錠 | 3〜4mg | 🚨 旧用法・現在は超過 |
「1日2回」という回数だけでなく、合計3錠(1.5mg)を超えていないかを確認します。
痛風発作の予防
- 通常1日0.5〜1mg(1〜2錠)、発作予感時は0.5mg(1錠)を1回
- 予防では1日2錠・発作予感時は1錠を超えない
- 患者向ガイドでは、長期予防の有用性は少なく推奨されない旨が記載されている
- 医師が必要性を評価した投与と、患者の自己判断による漫然服用は区別する
家族性地中海熱(FMF)
👤 成人
- 通常1日0.5mg(1錠)
- 症状に応じて調整
- 最大1日1.5mg(3錠)
- 1日1〜2回に分けて服用
👶 小児
- 通常1日0.01〜0.02mg/kg
- 最大0.03mg/kg/日
- 成人最大量1.5mg/日を超えない
- 1日1〜2回に分けて服用
AGREE試験(主要根拠)
Terkeltaub RA, et al. Arthritis Rheum. 2010;62(4):1060-1068. doi:10.1002/art.27327
| 群 | 投与方法 | 総投与量 |
|---|---|---|
| 低用量群 | 初回1.2mg、1時間後に0.6mg | 1.8mg |
| 高用量群 | 初回1.2mg、その後0.6mgを反復 | 4.8mg |
| プラセボ群 | プラセボ | — |
| 指標 | 低用量群 | 高用量群 | プラセボ群 |
|---|---|---|---|
| 24時間後レスポンダー率 | 37.8% | 32.7% | 15.5% |
| 下痢 | 23.0% | 76.9% | — |
| 重度の下痢 | 0% | 19.2% | — |
| 嘔吐 | 0% | 17.3% | — |
Cochrane レビュー(2021年)
McKenzie BJ, et al. Cochrane Database Syst Rev. 2021;8:CD006190. doi:10.1002/14651858.CD006190.pub3
- 低用量コルヒチンはプラセボより有効である可能性がある
- 高用量と低用量で明確な有効性の差は示されていない
- 高用量では有害事象が増える
- 低用量の方が有効性と安全性のバランスに優れる
2020年 ACRガイドライン
FitzGerald JD, et al. Arthritis Care Res. 2020;72(6):744-760.
急性痛風発作に対し、高用量より低用量を強く推奨(初回1.2mg+1時間後0.6mg、計1.8mg)
2016年 EULAR勧告
Richette P, et al. Ann Rheum Dis. 2017;76(1):29-42.
急性発作早期に初回1mg+1時間後0.5mg、計1.5mgを推奨。日本の改訂後1日最大量と一致。
禁忌
- コルヒチンまたは製剤成分に対する過敏症歴がある患者
- 肝機能障害または腎機能障害があり、かつ強いCYP3A4阻害薬またはP-gp阻害薬を使用中の患者
- 痛風発作の緩解・予防目的で、妊婦または妊娠している可能性のある女性(FMFは別途判断)
特に注意する患者
🔴 中毒リスク上昇
- 重度腎機能障害
- 肝機能障害
- 高齢者
- 低体重・脱水状態
- 衰弱が著しい患者
- CYP3A4・P-gp阻害薬使用中
⚠️ その他注意が必要
- 腎疾患・胃腸疾患・心疾患
- スタチン・フィブラート使用中
- 妊娠中・妊娠の可能性(FMF)
- 授乳中
- 複数医療機関から処方を受けている患者
コルヒチンは主にCYP3A4およびP糖蛋白質(P-gp)の影響を受けます。これらを阻害する薬剤との併用でコルヒチン濃度が上昇し、中毒リスクが高まります。
🔴 強いCYP3A4阻害薬(代表例)
- クラリスロマイシン含有製剤
- イトラコナゾール
- アタザナビル
- リトナビル含有製剤
- ダルナビル含有製剤
- コビシスタット含有製剤
- エンシトレルビル
- ロナファルニブ、セリチニブ
🔴 P-gp阻害薬・筋障害注意
- シクロスポリン(P-gp阻害)
- スタチン系薬(筋障害)
- フィブラート系薬(筋障害)
消化器症状(比較的よく起こる)
悪心、嘔吐、腹痛、下痢、食欲不振、胃もたれ、腹部膨満感が起こりやすいです。ただし下痢・嘔吐は中毒の初期症状でもあるため、症状の程度・経過に注意してください。
重大な副作用と早期発見の目安
| 症状 | 疑う副作用 |
|---|---|
| 発熱、寒気、咽頭痛 | 白血球減少、顆粒球減少 |
| あざ、鼻血、歯肉出血 | 血小板減少 |
| 息切れ、動悸、強い倦怠感 | 貧血、骨髄抑制 |
| 筋肉痛、筋力低下 | ミオパチー |
| 赤褐色尿 | 横紋筋融解症 |
| 手足のしびれ、つまずき | 末梢神経障害 |
| 激しい下痢、嘔吐、腹痛 | コルヒチン中毒 |
| 血尿、尿量減少、むくみ | 腎障害、中毒 |
🔴 中毒リスク因子
- 1日1.5mg超の服用
- 重度腎機能障害
- 肝機能障害
- 高齢・低体重・脱水
- CYP3A4・P-gp阻害薬
- 服用間違い・重複処方
⚠️ 症状の進行
- 初期:悪心・嘔吐・腹痛・激しい下痢・灼熱感
- 進行:骨髄抑制・感染症・出血・腎障害・肝障害
- 重篤:ショック・呼吸抑制・多臓器障害
- 服用を直ちに中止
- 速やかに医療機関へ連絡・受診
- 重症症状があれば救急要請
- 自宅で無理に吐かせない
- 残薬・PTPシート・お薬手帳を持参
- 強制利尿や血液透析では十分に除去されない
| 状況 | 対応 |
|---|---|
| 妊婦(痛風発作の緩解・予防) | 🚫 禁忌。使用できません |
| 妊婦(FMF) | ⚠️ 一律禁忌ではない。FMF再燃・慢性炎症のリスクも考慮し医師が判断。自己判断で中止しない |
| 授乳中 | ⚠️ 医師・薬剤師に相談 |
| 検査・確認 | 主な目的 |
|---|---|
| 血算・白血球分画 | 骨髄抑制 |
| 血小板数 | 出血リスク |
| AST・ALT・ビリルビン | 肝障害 |
| 血清クレアチニン・eGFR | 腎機能 |
| 尿検査 | 血尿、腎障害 |
| CK | ミオパチー、横紋筋融解症 |
| 電解質 | 下痢・嘔吐時の脱水 |
| CRP・SAA | FMFの炎症コントロール |
| 発作回数 | 有効性・アドヒアランス |
| 併用薬確認 | CYP3A4・P-gp阻害薬、スタチンなど |
痛風発作の処方監査チェック
- 1回0.5〜1mg(1〜2錠)か確認した
- 1日1〜2回か確認した
- 1日総量が1.5mg(3錠)以下か確認した
- 旧用量(3〜4mg/日)になっていないか確認した
- 疼痛改善後に中止する指示か確認した
- 腎機能・肝機能を確認した
- CYP3A4・P-gp阻害薬の併用を確認した
- スタチン・フィブラートとの併用を確認した
- 複数医療機関からの重複処方がないか確認した
- 妊婦・妊娠の可能性がないか確認した
疑義照会を検討する例
- 痛風発作に1日4錠(2mg)以上
- 「1回2錠、1日2回」(1日4錠=2mg)
- 「1回1錠、6〜8回」(旧用法)
- 1日3〜4mgの旧用量がそのまま記載されている
- 疼痛改善後も長期継続する指示
- 重度腎機能障害患者への処方
- 腎・肝機能障害患者へのクラリスロマイシン追加
- 痛風目的で妊婦に処方
- スタチン併用中に筋肉痛・筋力低下の訴えあり
- 複数医療機関からコルヒチンが重複処方
患者への説明例
飲み忘れ・過量服用
💊 飲み忘れの場合
- 気づいた時に1回分を服用
- 次回が近ければ1回飛ばす
- 2回分まとめて服用しない
🚨 多く服用した場合
- 症状がなくても医療機関に相談
- 激しい下痢・嘔吐・腹痛・筋脱力・血尿・意識変化は直ちに受診
- 残薬・お薬手帳を持参
保管・取り扱い
- 光を避けて室温(1〜30℃)で保管
- 小児の手の届かない場所に保管
- 他人へ渡さない
- 残薬は薬局または医療機関へ処分方法を相談する
📝 最終まとめ
- コルヒチンは好中球を介した炎症を抑える薬で、尿酸値は下げない
- 2026年6月改訂で痛風発作時の用量は最大1.5mg/日(3錠)に低用量化
- 1回0.5〜1mg、1日1〜2回。4錠以上は上限超過
- 疼痛が改善したら速やかに中止する
- 高用量でも有効性の上乗せは乏しく、下痢・嘔吐が著しく増加
- 腎機能障害・CYP3A4阻害薬・高齢・脱水では中毒リスクが高い
- 下痢・嘔吐は中毒の初期症状の可能性がある
- 血液透析では十分に除去されない
- 処方監査では旧用量の残存・1日最大3錠・腎機能・相互作用を重点確認
- FMFでは継続投与が必要。痛風発作時と同じ「改善後中止」ではない
📚 主な参考資料
- コルヒチン錠0.5mg「タカタ」患者向医薬品ガイド、2026年6月更新
- コルヒチン錠0.5mg「タカタ」電子添文改訂新旧対照表、2026年6月
- Terkeltaub RA, et al. Arthritis Rheum. 2010;62(4):1060-1068. doi:10.1002/art.27327
- Ahern MJ, et al. Aust N Z J Med. 1987;17(3):301-304. doi:10.1111/j.1445-5994.1987.tb01232.x
- McKenzie BJ, et al. Cochrane Database Syst Rev. 2021;8:CD006190. doi:10.1002/14651858.CD006190.pub3
- FitzGerald JD, et al. Arthritis Care Res (Hoboken). 2020;72(6):744-760. doi:10.1002/acr.24180
- Richette P, et al. Ann Rheum Dis. 2017;76(1):29-42. doi:10.1136/annrheumdis-2016-209707
本資料は服薬指導・処方監査の参考用です。実際の指導は処方医・最新の電子添文の情報を優先してください。